研究者

湯本Yumoto 潤司Junji

  • 役職:特任研究員(名誉教授、特命教授)
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  • 研究テーマ

    • (3Dプリンターを用いたテラヘルツ帯高機能導波管作製技術)

      テラヘルツ帯の伝送路では金属導波管が一般的です。この周波数帯では波長が1 mm以下となるため、導波管の断面サイズもサブmmスケールとなります。さらに、長尺な伝送路となると、既存の機械加工では製造が非常に困難です。そのうえ、周波数フィルタ、合波・分波、干渉計といった複雑な構成の実現には高い技術的ハードルとコストが伴います。

      こうした高周波化に伴うテラヘルツ帯導波管の製造課題を解決するため、狭小長尺で3次元自由形状を持つ導波管構造の製造技術を研究開発しています。特に、高解像度(20~30 μm)で、手のひらサイズの造形が可能なUV樹脂型3Dプリンター「RECILS」を活用し、テラヘルツ帯3次元構造導波管の実現を目指しています。

      RECILSで作製した導波管構造は樹脂製であり、そのままでは電磁波を中空構造内に閉じ込めることができません。そのため、サブmmスケールの樹脂製中空構造に無電解めっきを施す技術を開発しました。この技術を用いて製造した導波管は、金属導波管と遜色のない伝搬特性を示すことが確認されています。また、200~400 GHz帯でのバンドパスフィルタ、ねじれ導波管、スパイラル導波管、Mach-Zehnder干渉計の実現にも成功しました。

      今後は、この技術をさらに発展させ、各種テラヘルツ帯導波管コンポーネントを一体的に集積する3次元テラヘルツ波集積回路(3-Dimensional THz Integration Circuit, 3DTIC)の実現を目指します。3DTICは、光通信で使用されている平面光波回路(PLC)やフォトニックインテグレーション回路(PIC)のテラヘルツ版に相当します。3DTICが実現することで、テラヘルツ帯における無線通信やセンシングの研究開発が大きく加速されることが期待されます。