以下のとおりセミナーを開催しました。
日時:2025年4月15日(火)13:00~14:30
場所:東京大学理学部1号館9階4913室(34講義室) および ZOOM(どちらも事前登録制)
講演者: 田中 嘉人 氏
(北海道大学 電子科学研究所 教授)
講演題目: 光の角運動量と光のキラリティ
物質のキラリティ(左右非対称性)は、他の左・右のキラルな物質もしくは場との非対称な相互作用を通じ て識別が可能になる。スピン角運動量(s = ±1)を有する円偏光はキラルな電磁場であり、古くからキラ ル物質との相互作用が研究されてきたが、近年、新たなキラル電磁場として軌道角運動量 l を持つ光渦 とのキラル相互作用が、基礎物理と応用の双方の観点から注目を集めている。しかし、Local property で あるスピン角運動量と異なり、軌道角運動量は Global property であることから、キラル相互作用の研究 において、光渦とキラル物質とのサイズマッチングが極めて重要になる。そこで、波動関数がサブ波長程 度まで広がっている局在プラズモンモードを示すキラルナノ構造がキラル光相互作用の解明において期 待される。本セミナーでは、シンプルなプラズモンモードでありながら極めて大きなキラル光相互作用を示 すねじれ金ナノロッドダイマー[1]を紹介し、特に軌道角運動量を持つ光渦とのキラル光相互作用[2]につ いてのメカニズムを、光のキラリティを表す物理パラメーターOptical chirality(Zilch)[3]と多重極子プラズ モンモードの観点から考察する。
[1] W. Anan, Y. Y Tanaka, T. Shimura, APL Photon. 6, 126104 (2021).
[2] T. Uto, W. Anan, T. Shimura, Y. Y Tanaka, arXiv.2211.03422.
[3] Y. Tang, A. E. Cohen, Phys. Rev. Lett. 104, 163901 (2010).
使用言語:日本語
紹介教員:小西 邦昭
本件連絡先: sec-utripl@utripl.u-tokyo.ac.jp
※本セミナーはオープンですが、記録のため参加者のお名前、ご所属、メールアドレスをいただいております。