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EUVL領域における光学特性の位相敏感高精度測定

 最先端の半導体製造プロセスには波長13.5 nmのEUV光が用いる露光技術(EUVL)が不可欠で、その光学系には位相・波面の高度な制御が必要となっています。それを実現するためには、EUVLに用いる材料の屈折率等光学定数を正確に知る必要があります。ICCPTでは、そのために不可欠なテーブルトップ型のEUV領域における光学定数測定システムを開発するとともに、測定技術の産学共同利用を進めています。
 EUV領域における光学定数を正確に測定できる位相敏感高精度測定について、簡単に説明します。
 図1は、二重スリットによる干渉パターンの様子を示しています。aは、両スリットにサンプルは配置されていない状態です。それぞれの光波の強度、位相は同じで、その時の干渉パターンは中心部に最大強度となり、さらに、±の次数方向には対称なパターンとなります。一方、bは、一方のスリットにサンプルを置いた場合で、両スリットを透過する光の位相、強度が異なるため、干渉パターンは、その位相差、強度差に応じた干渉パターンのシフト、ビジビリティ―の変化を生じます。この変化からサンプルの屈折率、吸収係数を計測します。図2は、高次高調波を用いたEUV領域光学定数計測システムです。高次高調波による50eVから95eVのEUV光を光源とした二重スリット法により、屈折率と吸収特性を同時測定することが可能となります。
 これまで、位相敏感高精度測定によりAlのEUV領域での屈折率、吸収係数の評価を行い、表面酸化層があると米国Lawrence Kerkley National LaboratoryのCenter for X-ray Optics and Advanced Light Source(CXRO)から提供されているX-ray Databaseとは異なる数値になることを明らかにしています。言い換えれば、薄い表面酸化膜が形成される実際の材料ではDatabaseとは数値が異なることから、EUVL材料開発等では実際のサンプルを、高精度測定システムを介して実測定することが必要になることを意味しています。今後は、一層の精度向上を目指して、高次高調波発生条件や測定系の最適化を図っていく予定です。

fig1

図1 :二重スリット法による干渉パターンの変化。この変化は、二つのスリットを透過する光の光路長と強度の差で決まる。 aはサンプル無し、bは一方のスリットにサンプルを置いた場合。

図2 :高次高調波発生によるEUV光を光源とした二重スリットによる干渉パターンの波長(高次高調波の次数)依存性。

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参画機関

RIKEN 理化学研究所

MITSUBISHI ELECTRIC 三菱電機株式会社

GIGAPHOTON ギガフォトン株式会社

TORAY 東レ株式会社

フォトンテックイノベーションズ