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3Dプリンタ RECILS

ICCPTで研究・開発を行ってきたRECILSは、「高解像度」「高速造形」「手のひらサイズ」を両立する3Dプリンタで、レーザー走査でUV光硬化樹脂を硬化させ造形を行う光造形(SLA)方式の一種ですが、従来とは異なる新たな技術を用いています。
RECILSの特徴は、平面基板(ビルドプラットフォーム)と円筒ガラス(規制液面板)の間で光造形を行うことです。先ず、ノズルから光硬化樹脂を円筒ガラス上に供給するとともに、設定された狭ギャップ(20~40 µm)になるように基板を円筒ガラス方向に垂直移動させます(光硬化樹脂の薄層化)。その後、10µm程度に集光されたUVレーザー光を、基板を水平方向に移動させながら薄層光硬化樹脂に高速でラスタースキャンさせることにより光硬化像を形成します。この操作を繰り返して積層させることにより、3次元構造を造形していきます。

fig1

 従来のSLA方式の3Dプリンタは、レジンタンクに液状樹脂が溜められ、タンクの下からガラス平板を介してUVレーザーを照射するものが殆どでした。この場合、1層の造形が終わるごとに、硬化させた樹脂をガラス板と剥がす必要がありますが、その際、剥離抵抗によって上昇と同時に造形中の微細構造が壊れてしまう欠点があります。また、剥離を機能的に行うことを狙ったプリンタでも、剥離のプロセスに時間がかかったり、造形精度自体が悪かったりといった問題を抱えています。一方、DLP方式の3Dプリンティング技術は、微細構造を高精度かつ高速に造形できる利点がありますが、造形サイズを大きくすればするほど解像度が悪くなるという構造的な問題を抱えています。同じく光硬化性樹脂を用いることのできるインクジェット方式は最近注目を集めていますが、装置コスト、ランニングコストともに非常に高く、また場合によってはサポート材による表面荒れが発生したり、後処理に手間がかかったりすることがあることから、まだまだ使い勝手が良いとは言えません。(下表参照)
RECILSはSLA方式でありながら、規制液面板に円筒ガラスを使用することによって、樹脂液の厚さを制御するだけでなく、回転する円筒ガラスが液面板と造形物の剥離を自動的に行うため、高解像度と高速造形を両立しています。また、造形サイズの大きさと造形解像度との間に相関関係が無いため、造形サイズが大きくなっても高い解像度を維持することができます。
RECILSによって、これまで造形が困難であった、外寸10cm前後かつ10~数10μの解像度を必要とする3次元立体構造の造形が実現できるようになります。その結果、本技術が高周波伝送用導波管などの無線通信部品、マイクロチップなどの化学・バイオ向け部品、ハイブリッドロケット燃料などの宇宙産業部品、完全中空構造の軽量構造体など、幅広い産業領域の研究・開発活動に役立つことが期待されます。

RECILSの造形試作は、東京大学発のベンチャー企業であるフォトンテックイノベーションズ(株) https://photontechinnovations.com  にて実施しています。

表1. 造形方式の違いによる利点・欠点
fig2

FDM:Fused Deposition Modeling/熱溶解積層法
SLS: Selective Laser Sintering/粉末焼結積層法
SLA: Stereolithography Apparatus/光造形(レーザー)方式
DLP:Digital Light Projector/光造形(DLP)方式

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参画機関

RIKEN 理化学研究所

MITSUBISHI ELECTRIC 三菱電機株式会社

GIGAPHOTON ギガフォトン株式会社

TORAY 東レ株式会社

フォトンテックイノベーションズ